最後の景色

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「お店の中でね、藤田おばちゃんに会ったのよ。最初、話しかけようかどうか迷ったんだけど・・・なかなか会えないからね」 母親は、隣町にある美容院を目指して車を走らせながら、先ほどの出来事を話し始めた。 夏鈴は、1歳になるかならないかくらいの時期から幼稚園に入るまでの間、託児所で藤田おばちゃんにお世話になっていた。 託児所では、藤田おばちゃんのおかげでさまざまな体験を通し、学べたことがたくさんある。 まだ小さかったにも関わらず、夏鈴にはその頃の記憶はまだ残っているのだ。 現在クラスが同じ悠介や、クラスが同じになることが全く無かった和真も託児所にいたが、託児所での記憶を保てているのは、その2人が未だに近くにいるからなのかもしれない。 皆でプールに入った夏の日。 皆で寄り添い合った雷雨の日。 毎日のお昼寝の時間。 思い出せばいくらでも。
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