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――――ピンポーン
ソファでうとうととまどろんでいたところに、微かに家のチャイムの音が聞こえた。
まぁ、家に誰かいるだろうし気づいた人が出ればいいか。
なんて思いながら、意識が落ちかけたとき、
―――ピンポーン
と、またチャイムが遠くで聞こえた。
誰かでてよ。
私眠くて体が重くて起き上がれない。
「お母ぁさーん…、鳴ってるよー」
眠たくて、チャイムがうるさくて、でも起き上る気になれず、精一杯の大声を張り上げて家にいるだろうお母さんに呼びかけた。
(…うるさい)
寝ぼけていて加減が効かなかったせいで、怒鳴るような自分の大声が耳にどーんと響いた。
あまりにうるさくて、自分の眉間に皺が寄ったのは見なくても分かった。
これだけ大声出したんだからお母さんだってチャイムに気が付かなくても私の声には気づくはず。
と思っていたのに、しーんとしていてお母さんが動く気配はない。
はーい。
という明るい返事を予測していたのに、聞こえなくてもう一度呼ぶけど、やっぱり応答はない。
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