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(……あ、そっか。お母さん出かけるってさっき言ってたっけ) 目をつむったままなんで返答がないのか考えていると、私がソファに居座って完全に意識が飛ぶ前にお母さんが私に向かって何か言っていたのを思い出した。 買い物行ってくるわ、的な。 そこまで思い出して、また眉間に皺を寄せた。 お母さんがいない、ということは。 お父さんは会社に行ってていないし、弟は普通に学校に行ってる。 つまり、平日の昼間、お母さんがいない今、家にいるのは私だけ。 私が来客に対応しなければならない、と。 あー、お客さん。悪いですけど、正直面倒です。 というか、チャイムが鳴ってから大分経ってるしもうあきらめて帰ったかな、とか自分の都合のいい方に解釈していると、 ―――ピンポーン そんな私を催促するようにまたチャイムの音が鳴った。 「…あぁもう!」 その音を聞いて瞬時にソファにもたれていた体を起こした。 でればいいんでしょ、出れば!
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