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本来の電脳空間を、秋継は光が行き交う宇宙のようなイメージで捉えている。
その空間に長時間浸かっていると、五感に負荷が掛かる電脳酔いと言われる現象が起こりやすい。
それを回避するために、秋継は電脳空間に仮想領地を構築し、それを足掛かりにデータ領域にアクセスしているのだ。
秋継の構築した仮想空間は単純な構造であり、線による立体空間がほとんどだ。
アーデルが以前酷いと言っていたのはその為である。
それと最新の仮想ゲームの立体データとを見比べるのは、どだい無理な相談である。
『それにしても、今回はセキュリティーの動きが遅いよね?』
「まあな。アーニャに貰ったコードを元に、デコイを構築し直したからな。上手く囮になってくれてるって事だ」
『言ってる側から、そのアーニャとやらからチャットが来てるよ~』
「おっ、本当だ」
秋継の顔の横に、点滅する黄色い光が現れる。
それがアーニャからの通信が届いている事の証のようだ。
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