強引な来訪者

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     ◇ 「理不尽だ……」  目の前で自分勝手に動き回る生徒を見て、秋継は大きく肩を落とした。  アガルタ初等部校舎に隣接する、体育館の地下にある実技用の魔術修練場である。  その場にいるのは講師一人と初等部三学年の生徒四十人。  それに、秋継と秋姫だ。  みな学校指定のジャージや体操着に身を包んでいるが、秋姫だけは体操服にブルマー、それに猫耳と尻尾装備である。 「キャー可愛い!」と叫ぶ女子と、 「何これ? どうやって動いてるんだ?」と、興味津々の男子に囲まれている。 「あいつは……何しに来たんだ」  げんなりする秋継の元に、利発そうな女性講師が近付いて来た。かなり若い。  コード・エイジ世代なのだから、当然と言えば当然の事ではある。 「私は講師の八坂楓【やさかかえで】。貴方達が実技訓練の手伝いを申し込んでくれた、風紀委員の本条君と悠弦さんね。実技訓練は間違うと怪我をする子供が出るから、気をつけて教えてあげてね?」  ニッコリ笑って握手をする。  それなりに美人だなと秋継は茫洋と考えていると、何かを本能で察知したのか秋姫がダッシュで近づいて来た。 「先生! 何を教えるんでしょーか!」  二人の前で片手を上げて急ブレーキ。
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