術装魔法戦線

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 19時を越えて辺りは闇に包まれていた。  秋継とアルファがアガルタ学園第二運動場に到着したのは、エージェントから逃げ切ってから1時間後である。  運動場を選んだのは、一般人が巻き込まれる危険性を鑑みてだ。  いくつかの明かりが有るが、この時間だと流石に薄暗く人影も見えない。  秋継は地面に広がる魔法円の起動シグナルの明滅の遅さに、かなり苛立ちを感じて地面を蹴った。 「くっそ! やっぱり遅いなぁ」  エージェントが苛々していた気持ちが、今ならハッキリと分かる。  荒れているのは仕方が無いなと、アーデルは客観的に結論を出した。  先程までアルファに、お姫様だっこをされていたのだから仕方が無い。  アルファの提案は至極単純な事であった。  アルファが計算し尽くした怪しい回線に、秋継とアーデルがダミー情報を流すと言うものである。  但し、それは秋継の類い稀なる電脳交感能力と、電子精霊と呼ばれるアーデルの能力があってこその成果と言えよう。  その目論みは成功し、ブラボー達は数分のタイムロスを強いられ、その内に秋継はMCNの申請を改竄。  現在ようやく秋継のコードデヴァイス【術装端末】を召喚中だったのである。  ただ、電脳空間にダイブしている間は生身の体は無防備に近い。  それを補う為に、アルファが秋継を運ぶ手はずになったのだが……アルファはよりによって、秋継をお姫様抱っこで運んでいたのである。  電脳空間からリアルに戻ったら、その状況では男として微妙にプライドが傷ついたのは仕方が無い。
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