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ようやく魔法円から、まばゆい光りが溢れ出した。
ゆっくりと浮上してくるのは、フィストガードの付いた二対の大振りのナイフと、眼鏡入れだ。
ナイフの長さは太刀に近い。
秋継は先に眼鏡入れに手を伸ばす。
眼鏡入れには、コンタクトレンズとメモリースティックらしき物が入っていた。
「アーデル、シフトチェンジ」
『了解』
秋継は淡々とコンタクトを嵌めてから、肩にかけていたヘッドフォンのスロットにメモリースティックを差し込む。
ヘッドフォンから、ピロリロリンと例の間の抜けた着信音が鳴った。
そこから可愛らしい声が鳴り響く。
『電子精霊アーデル・ヴェルバー! 頼みに答えて、直ぐさま参上!』
それと同時に、秋継のコンタクトレンズに施された3Dスクリーンに、アーデルの姿が映し出された。
コンタクトレンズを通して視覚内に画像を結ぶ、バビロンの最新データリンクデバイスである。
あたかも空中を飛ぶ、本物の妖精のようにアーデルは空を舞っているが、実際それが見えているのは秋継だけだ。
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