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「手の内がばれていると言うのは、些か問題のようだな」
アルファの背後にいるランスを持つ男は、その背を睨みながら愚痴を零した。
もともとアルファはヴァルハラの勢力だ。手口は知り尽くしている。
「敵兵力は予想通り2です。ガンナータイプとランスタイプ・デバイスホルダー。両者共にゴーグル、スーツタイプの術装端末も装備しています。秋継の戦闘データがないので、相性は不明。好きな方の相手を提示してください」
さらりと告げるアルファは仁王立ちに近い。
あれで戦闘体勢と言うのだから驚きだ。
「好きな方ねぇ……」
チラリと両者を見るが、どちらも長所と短所が見え隠れしている。
どう見てもランスは中距離・突撃攻撃型であり、ガンナーに至っては遠距離・火力重視型なのは間違いない。
秋継の短刀は見たまんま近距離・速度優先型である。
秋継にとってはクロスレンジでの戦闘が真骨頂であり、とにかく相手に近付かなければ話にならないのだ。
「アーデルの判断は?」
秋継の問いに、アーデルは口を尖らせて唸る。
『確率変動60で解析。ガンナータイプは面、点攻撃、拠点防御に特化していると判定。ランスタイプは、突進、点攻撃、機動防御と判定。ガンナーは懐に入れば御しやすいけど……近づく前に蜂の巣かな? 両者とも残り二つの術装端末が在るから、一つは完全防御用で、もう一つはサポート兼予備だろうね』
「……くそ。術装端末三つだと?! 金持ち目ぇ~」
秋継はギリギリと歯軋りした。
明らかに戦力が違う。
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