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ババアが死んだ。
ババアといっても俺の祖母はとうの昔に死んだ。
ババアってのは俺のおふくろのことだ。
こんなことさらせる話じゃないんだが書き連ねることにした。
3年前の夏。俺が高校3年生をしばし満喫していたときの話だ。
その時は記録的な猛暑を観測した日。
朝っぱらからババアは空間が裂けそうな声で二階で爆睡してる俺を起こす。起こすなんてもんじゃなかったよ、あれは。一瞬の地獄だよ。
階下に降りると似合わねぇエプロンと三角巾がいやに大きく目に映る。
台所に向かって俺の特盛弁当を作ってる背中は圧巻だよ。
俺はテーブルに用意されてたおにぎりをひとつ頬張った。ババアのつくるおにぎりはいつも塩だった。何か具を入れろ、と言ってみたが効果なし。ババアのつくるおにぎりで塩以外を食べたことがなかった。
おまけに少ししょっぱい。
塩多すぎだろ。
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