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薄暗い雨の昼間の中でもその小さな赤い人はくっきりと眩しい。 しばらく見ていたけれど首が疲れて、その眩しさが目に染みるので私は俯いて肩に乗せた傘の、柄を両手で握り締めた。 その指が冷たさに慣れだした頃、前を通っていた車が止まった。 ぴっちゃと跳ねるのとタイヤに引きずられて捩れる、水音をかき消すような大きさで信号機が機械音を流す。
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