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なあ。
後ろ姿のそいつに、
ぽつりと呟くように呼び掛けた声は思った以上に出なくて、
掠れて消えた。
それが何故か切なくて、
自分から逃げたハズなのに。
もどかしくて、胸がぎゅっとしまる。
「おかえり。井本。」
なんでもないように、
それが自然なんだと言うように、
俺の頬を撫でるから。
「おう。」
その手を、温もりを、
感じながら、俺はまたお前に囚われた。
きっともう。
逃げれない。
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