ヒマワリと太陽

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ヒマワリと太陽

「ひなちゃん。 僕はひなちゃんのことが好きになっちゃったみたいだ。 でも僕は大学生で、ひなちゃんは小学生。 本当はそんなことどうでもいいんだけどね。 明日は、一緒にお昼まで遊んであげられるけど、でもそのあとはしばらく来れない。」 「そんなのいやだ。 陽太おじさんと遊びたい。」 「ごめんね。ひなちゃん。 でももし、もしも、ひなちゃんが今の僕と同じくらい、つまり高校を卒業した時。 その時僕の事を覚えていたら、また会えるかもしれない。 でもそれまでにきっと、僕よりカッコいい男の子が仲の良い友達になってくれるよ。」 「ひな、陽太おじさんがいい。男の子なんかいらない。」 「うん、ありがとう。 今日は家まで送ってあげるからね。」 僕に手を引かれて歩くひなちゃんは、無口になって淋しそうにしていた。 ひなちゃんの家に着いてひなちゃんのお母さんに 「この辺をいろいろ案内して貰ったので、送るついでですが一言お礼を言いにきました。」 と言うと、さすがに少し怪訝そうな顔をし、 「それはそれは、わざわざありがとうございます。」 と、まあ予想通りの反応が返ってきたので、帰ろうとしたら。 「あら、天野さんじゃないの。今あなたの話をしてたところよ。」 その声は高野さん、陽菜ちゃんのお母さんだった。 「あ、先程はどうもありがとうございました。」 よく状況がつかめないまま挨拶をした。 「え、じゃああの陽菜ちゃんの遊び相手ってこの… まあまあ、そうだったの。 どうぞ上がって下さい。」 訳の分からないまま居間に通された。 ひなちゃんも同席した中、話を聞くと、陽向ちゃんは陽菜ちゃんが亡くなった後に生まれた従姉妹に当たり、親同士は陽向は陽菜の生まれ変わりのようだと常々話していたという。 「そうだったんですか。 よく似ていると思ったのは錯覚じゃなかったんですね。」 そのやり取りを黙って聞いていたひなちゃんが 「お母さん、陽太おじさんねえ、あたしを見たときひなの名前呼んだんだよ。」 これには参った。 しかも赤面する僕にひなちゃんはさらに追い討ちをかけた。 「それからねえ、ひなが高校を卒業したらまた会えるかもって。 どういうこと?」 ふたりの母親はお互いの顔をみたあと赤面した僕と無邪気なひなちゃんを見てしばらく大笑いしていたのだった。
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