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次の朝とうもろこし畑に行くとひなちゃんが先に来ていた。
「ひなちゃん、おはよ。」
僕らは昨日と同じところに座って話を始めたら、ひなちゃんの方から、陽菜ちゃんとの話を尋ねてきた。
「そうだね、僕もひなちゃんには話しておこうと思ってたんだ。
あれはね、僕が今のひなちゃんと同じくらいの頃、夏ここへ来たときの事だったんだ。」
僕はひなちゃんの顔とヒマワリを見ながらあの頃を思い出しながら話し出した。
ひなちゃんが産まれる少し前に亡くなった、会った事の無い従姉妹の陽菜ちゃんと、ここで出会って一緒に遊んだこと。
“太陽とヒマワリ”というふたりだけの追いかけっこのあと、交わした約束のこと。
その約束を果たせなかったこと。
やっと10年ぶりに来れたと思ったら陽菜ちゃんが亡くなっていた事を知ったという事を話した。
「ひなちゃんは本当に陽菜ちゃんそっくりで、おととい最初に見かけた時は本当にびっくりしたよ。
たぶん陽菜ちゃんはひなちゃんを、夏川陽向ちゃんを僕に会わせてくれた。
だから、陽菜ちゃんは僕を許してくれたのかもしれない。
でも、ぼくが約束を守れなかった事に変わりはないんだ。それが悔しくて申し訳なくて…
なんか暑くなってきたね。」
僕は汗を拭うふりをしてから上を向いて、涙が出てきたのをごまかそうとしたけど、でもバレていたかもしれない。
ひなちゃんは僕の方を見て何か考えていたと思ったら…
「ねえ、今度はあたしと約束しよ。だから…、
約束のやり直ししよ。」
僕は驚いた。さらにひなちゃんはこう続けた。
「あたしが代わりに陽菜姉ちゃんの約束を守らせてあげる。」
そう言って泣きながら僕に抱きついてきた。
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