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遥,side
その少年―野々村 遥は慌てていた。
遥(お、驚いたでござる。まさか、拙者のアビリティを見抜くとは…!)
遥のアビリティは『自分の姿、気配を消すことができる』と云うもの。
ここ、アンダーワンダーランドに来てから数日、様々な箇所を見て回っている遥。
偶々、学園裏の森に出向き、フラグメントを躱す為アビリティを発動し散策を始めた矢先、稽古をする柚華を発見、何となく観察していた処…
突然誰何され、驚愕、遁走したのであった。
ただし、遥の思考には一つ誤りがある。
それは、柚華は遥を見抜いたのでは無く、『誰かが居るかも知れない?』と云う直感を示しただけ。
である事だ。
だが、それを知らない遥は、最大限に気配を消し、逃げ出したのである。
が。
遥「…そういえば、拙者は何故彼女から逃げたので?別に疚しい事をしていた訳では有るまいに…」
尤もである。
けれども近寄りがたい雰囲気の相手に突然誰何されれば逃げるだろう。
しかも『自分に気付いていない』と考えている時なら尚更である。
そこで遥は、
遥「よし。彼女に挨拶しに行くでござる。」
そう言ってまた森へと入っていった。
今度はアビリティを使わずに。
遥,sideout
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