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「うまいなこの串焼き、何の肉かは知らんが」
目の前にはうず高く積まれた串焼きの山、のべ四百本とちょっとが瞬く間に空串へと変わって行く
酒もうまいし、肴もいままで食べた物の中で一番の味付け
絶妙な塩加減にとろ火でじっくりと炭で焼かれた何か解らぬ肉は、一口食べれば口の中でとろけるように消え失せる
ジューシーな肉汁に肉厚のそれに舌づつみを打ちつつ、手盃に注がれている不透明で芳しい匂いを放つ酒を煽る
真に至福の時である
ああ、因みにあれから残念ながら身体に異変はない
…察してくれ
そう、見た目は未だに幼女と見間違えるような容姿なのだ
まぁこの世界じゃ見た目イコール年齢何てほぼあり得ないご都合的なおかげで、俺はいまこうして酒を飲める訳だから異世界万歳だ
強いて言うなら成長はして欲しい
せめて身長だけは
とは言え、無い物ねだりをしても先無き事とやや諦めてはいるが…
そんな近頃くせになりつつある自嘲をしながら串焼きに手を伸ばすも、手は空気を掻くように目の前の串焼きをすり抜ける
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