第一話 街へ行こうか

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「ラギア・ル・ギアス・アマテウム。盟約に従え我に仕えよ、鋭き氷柱列なり合わさる極光、不毛の大地に深淵と極無を携え眠る柩、地を這い伝い忌ましめるは永久の静寂、混沌は破壊を持って吹けよ闇風、光輝は再生を持って我が前の敵を穿て【慈悲亡き不凍の浸寒】」 「■■■ーーー!!??」 そう口にするや否や、吹きっ刺す寒さが肌を貫く 先ほどまで熱気立ち、辺り一面赤黒く脈動していたマグマはその活動を止めていた そして、たったいま断末魔にも似た声を上げ物言わぬ氷像と化した竜種、ただ図体が大きいだけの、デカブツは真っ白に凍りつき最早動きはしない さくさくと霜立つ地を踏み締め、デカブツの傍まで歩み寄り 「【断罪の刃】」 払うように振った指先からは沸き立つオーラにも似た形容出来ぬ蒼白い刃が伸び(二、三メートルほどの)、我前に佇む竜を一瞬で骨を残し解体した 「ふむ、いまいち発動までに時間がかかり過ぎるな…」 選別した部位を闇に取り込みながらも先ほど展開した新たな術への見解を深める 「断罪ならば詠唱破棄でもある程度使えるまでに練度も上がったが…まぁその内、譜音を弄くれば良いかな」 終始独り言を呟きながら俺はこの地を離れる なかなかに良い素材も手に入ったしこれらを何かに加工するのもいいだろう 膨らむ想像に心踊らせながら近場の都へと転位する 残されたのは物言わぬ骨屑(まぁ龍樹クラスは時が経つと復活するからほっとくが吉だな) あと四、五年は溶けぬだろう極寒の大地だけであった
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