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闇
少年が目を覚ました時、少年の世界は闇に包まれていた。
何の事はない、只目を塞ぐ為に目隠しをされているだけなのだが、手足を縛られて動けない事実が少年の思考を混乱させていた。
「お、ガキが起きたみたいだぜ」
聞き覚えの無い男の声が少年の耳に届く。
「ん~!ん~!」
少年は危険を察知し声を挙げようとしたが、口も塞がれていて満足に声を挙げる事が出来なかった。
「おぉおぉ元気がいいなぁ。
縄を解いたら噛みついて来そうだ」
先程とは、また別の男が少年の事を見ながら軽口を叩いた。
少年も少年なりにではあるが思考を巡らせた。
何故、此処に自分は居るのか。
それくらいなら少年にも分かる、この男達に連れてこられたのだろう。
そこで、少年はあることを思い出した。
確か、夕食の前にこの男達が家に入ってきて、そこからは覚えていない。
「で、兄貴
お宝の方は手に入ったんですかい?」
最初に声を挙げた方の男が先程の軽口を叩いた男に話し掛ける。
どうやら、その男が親玉らしい。
「あぁ、今こいつから聞き出した場所に取りに行かせてる。
流石に妻を殺されて俺達が本気だって伝わったみたいぜ。
ま、次も嘘をついていたら息子を殺すだけだがな」
男は笑いながらそう語った。
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