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「お頭~!」
何処か遠くから声がする。
「お頭~!」
再び声がした。今度はすぐ近くで。
「おぉ、戻ったか。
で、どうだった?」
どうやら、また違う子分が戻って来たようだった。
「確かにありましたぜ。
ほら、此処に」
微かに金属の擦れる音が響く。
「でかした!
ほう、これが」
満足そうに親玉が呟く。
「ふんっ!
それの価値も分からない俗物が!
さあ欲しい物は手に入ったろう、さっさと解放しろ!」
父の悔しさと怒りの籠った声が響く。
「あぁ、デストーニさん。
すぐに解放してやるよ!」
ザクッ!
「うっ!
貴様!」
刃物が何かを刺す音と友に父のうめき声が少年の耳に届いた。
「安心しろよ、すぐ息子も送ってやるからよ」
親玉は特に気にした様子も無く、そう言った。
「兄貴、チビは俺にやらせてくれよ」
子分が物欲しそうな声に親玉にそうねだっていた。
「好きにしろよ、俺はもう寝る」
親玉は欲しかった物が手に入り満足したのか、それ以降の全てを子分に任せた。
「ヒヒ、じゃあ遠慮無く。
悪く思っても…まあいいか。
お前を生かしておいて後で敵討ちとかされても面倒だからな」
少年の頭を足で押さえて子分が剣を振りかざす。
「間に合ったぁぁ!」
突如、叫び声が届いた。
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