新部長の苦悩

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「だって加藤に本気で 惚れてたくせに 小野部長とくっつくように 色々小細工してたろ? 自分で自分痛めつけてるなんて 絶対ドMだぜ?」 「ちゃうやろ。 それは男気ってもんや」 「はいはい」 笑いながらオフィスに 入って行くグッチーに 深いため息を吐き出した。 もう触れんといて欲しいのに。 これでも結構俺、 落ち込んでるんやけど。 だってそやろ? 久々やってんで。 本気で女に惚れたの。 心でそう呟きながら 俺もオフィスのドアをくぐった。 先月まで千夏が座っていた席には 新しくプランニング課に配属された 新卒の新人、吉野弥生。 名前負けしないおしとやかな 古風な感じのそこそこ 可愛い子。 だけどそれは見た目だけで コイツがなかなかのくせ者だと 気付いたのは、それから 1週間後の事だった。 先制攻撃のおかげなのか 東雲部長に向けられていた 女子社員達のハート型の瞳は だいぶ減り始めていたのに この吉野だけは全く効果なし。 気付けば新人教育してくれている 勝田課長を差し置いて 東雲部長にやたら絡みついている。
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