新部長の苦悩

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「東雲部長… なんやねんその手は」 俺の言葉でハッと 我に返ったかのように 東雲部長は吉野の手を 振り払うと無言のまま 前島チーフを追いかけて行く。 取り残された俺と吉野。 だけど吉野は相変わらず 楽しそうに笑っていた。 「まさか橋本先輩が 前島チーフ狙いだったなんで 思いもしませんでしたよ。 だったら私と手を組めば 良かったじゃないですか」 クスクス笑いながら言った 吉野にプチンと音を立てて 俺の血管が切れた気がした。 この女…許せへん。 ゆっくりと歩み寄った俺は そのまま吉野の両腕を掴んで 壁際に押し付けた。 「ちょっ… 何するんですか!」 負けじと腕に力を込めて 俺に抵抗して来るその女の 足の間に自分の膝を 滑り込ませてガッツリ捕える。 「お前な… 男を舐めたらあかんで。 そんなに男が欲しいんなら 今すぐここで俺が抱いたろか?」 俺に偽善者と 言い捨てたんやし もう優しい先輩のふりする 必要もないやろ。 そう思いながら吉野の 耳たぶにキツく歯を立てた。
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