新部長の苦悩

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「ひゃぁっ…」 首をすくめた吉野の耳元で 微かに息を吹きかけながら 囁いてやる。 「前島チーフより お前の方が若いし 具合もエエんやろな。 その気になったら連絡し。 俺、テクには自信あるで」 目をまん丸くして 俺を見上げる吉野の足の間を 軽く膝で刺激してやった所で 耳をつんざくような声が響く。 「橋本ぉー! お前、何をやってんだ! このバカ野郎!」 その人は猛スピードで 俺に駆け寄って来て そのまま耳を掴まれ 吉野から引き剥がされた。 ヘラッと笑顔を向けた先には 怒りの形相の勝田課長。 「ったく! 坂口と言い橋本と言い とんでもない酔っ払いだな! 吉野、大丈夫か?」 心配そうに吉野を 覗き込む勝田課長は 確実に彼女が お気に入りなんやろけど。 「…あ…は…はい…」 真っ赤な顔で頷いた吉野に ホッとした顔を浮かべた 勝田課長が再び鬼の形相で 俺に視線を向けると 脳天にゲンコツを落とした。 「少し酔いを冷まして来い!」 くそー。 痛いやんけボケ! と思っても、 上司に刃向えるはずもなく。 またヘラッと笑って 俺はその場を後にした。
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