プロローグ

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彼女との出会いは 本社勤務になってから 2度目の春。 社内のデザインコンペで 彼女は優勝、俺は3位。 その結果が出た瞬間から 俺の中で誰よりも ムカつく女になった。 「二度と日本に来んといてや」 挑戦的に吐き出した言葉には 「言われなくても来ないわよ」 なんて言い返して来るし。 ホントに生意気な女。 尊敬する東雲部長を 見送りするために 前島チーフに便乗して やって来た空港ロビーでも ひたすら俺に絡んで来る。 「空港まで押しかけるなんて ホントに気の利かない男ね」 「なんやねんお前。 ぶっ細工なくせに生意気やねん」 「ブ男に言われても 痛くも痒くもないわ」 …ムカつく。 俺、こういう女が一番嫌いやわ。 ま、二度会う事もないだろし アホは相手にしないのが一番。 そう心に言い聞かせて 睨み続ける女をスルー。 「東雲部長、来月から よろしく頼んまっせ」 「ああ、 しっかりしごかせて貰うから 覚悟しとけよ、橋本」 口角を上げて微笑む東雲部長は 絶対にドSやな。 だけどこの人の事は嫌いじゃない。
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