新部長の苦悩

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会場に戻って東雲部長と 前島チーフの姿を探してみても その姿が見当たらない。 あかん。 喧嘩でもしとったらマズイ。 そう思いながらあちこち 探し回っていると 階段の影にようやく 二人の姿を見つけた。 が… 前島チーフの両手を 壁際に抑えつけて じっと見下ろしてる 東雲部長の背中が見えて 俺は階段の踊り場で足を止めた。 微かに聞こえて来る 二人の声に聞き耳を立てる俺。 やっぱスパイな気分。 「だから… 違うって言ってんだろ。 抱いてくれなきゃ辞めるって 言われたらから ちゃんと答えてやったんだって。 じゃあ辞めたらいいって。 部長でありながらそれ言っちゃう 自分に笑っちゃったけどさ」 「だってじゃあっ… 何で吉野さんと手なんてっ…」 「それはお前が橋本に 抱きしめられたりなんか してるからそれに驚いてた隙に 吉野が勝手に 握って来ただけだって」 「だっ… 抱きしめられたなんてっ」 「抱きしめられてたろが」 「違うしっ! あれは橋本君がっ」 「だいたい香織は 無防備すぎるんだよ」 「そ…そんな事ないもんっ」 全く…なんやなぁ。 チーフは仕事では 完璧女のくせに 東雲部長の前では まるでダダっ子やん。 言い合いを続けてる 東雲部長と前島チーフに 込み上げる笑いを堪えながら 俺は階段を降りる足を進めた。
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