新部長の苦悩

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と、大きくため息を吐き出した 東雲部長が言った言葉に また足を止める。 「じゃどーすんの? 結婚辞めたいの?」 「それはっ…」 「俺は辞めたくないよ。 お前以外の女との 人生なんて考えられないし。 なぁ香織。 始まりは最悪だった 俺達だけどさ… お互いが大嫌いなところから こんなにも好きになれたのは 俺と香織は運命に 導かれたと思ってるんだけど。 香織はそう思った事ないの?」 微かに首を傾げて覗き込んでる 東雲部長の表情に すっかり大人しくなった 前島チーフはポツリと それに答えた。 「…思ってるよ…」 「だろ? だったら俺だけを信じろ。 周りが何を言おうと 信じていいのは俺だけ。 分かった?」 クスッと笑みを見せながら そう言った東雲部長に もう前島チーフは完敗の様子。 「…遥斗の…バカ…」 「そのバカに惚れてる香織は もっとバカだよな」 「ぐっ…」 …やっぱ東雲部長は カッコエエわー。 始まりは最悪で あの二人はお互いが 嫌い同士やったなんて 初めて聞いたけど。 …なんか… そういうの、エエな。 そんだけ二人の気持ちは 確かなものやって感じするし。 せやけど俺、 出番なかったやんけ。 そう思いながら 静かに笑みを浮かべ 俺は階段を登った。
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