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「意気地なし」
吉野が吐き出したその言葉に
さすがの俺もカッチーンと来た。
やっぱこの女許せへん。
ほんならとことんまで
傷つけたろか。
そう思いながら口角を上げて
暴言を吐き出してやった。
「一晩だけやで。
俺、他にも女おるから」
どうや?
さすがに引くやろ?
そう思ったのに。
「いいよ、それでも」
返って来た答えに
俺の脳内は一気にパニック。
え?マジか??
どうする俺??
据え膳食わぬは男の恥とか
おとんが言っとったっけ。
いやいや、でもマズイやろ。
仮にもコイツは俺の後輩で
同じプランニング課で
え~っと…。
自問自答してる俺に
吉野はピタリと躰を
密着させて来た。
「橋本先輩のテク…
試してみたいだけだから」
…あかんわこの女。
そう思ったら急に
頭の中が落ち着いて行く。
「お前…最低やな。
東雲部長が好きやったのに
俺とエッチ出来るんや?」
「言ったでしょ。
欲しいものは必ず
手に入れる主義なの」
ニコリと笑った吉野に
呆れて笑いが込み上げた。
「アホかお前。
俺はヨゴレな女を
抱くほど落ちぶれとらんわ。
他当たってくれや」
勝田課長に怒られるかも
しれへんけど。
もうこんな後輩、いらん。
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