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…なんやコイツ。
俺と一緒やん。
そう思いながら
グラスのワインを
口に運んでいた俺に
美杏はニコリとその笑みを
向けて言った。
「橋本も同じなんでしょ。
千夏さんが好きだから
彼女の幸せを一番に考えた。
それって間違ってないと
私は思うよ」
「…はっ。
お前、俺を泣かす気満々やろ」
「バレた?」
「泣かへんで俺」
「泣けばいいじゃん」
「泣かん。
男が泣いてエエのはな、
親が死んだ時と、
恩人が死んだ時と、
腹が痛い時だけや」
「…なんだそれ?」
クスクス笑う美杏に
俺も小さく笑った。
…美杏ってエエやつやん。
そう思ったのに。
それは式を終えて、
千夏の投げたブーケを
美杏がちゃっかり
キャッチした瞬間から
始まった。
「はっ!
相手もおらんくせに
なんやねんお前」
ついつい関西人の癖で
突っ込みしてまった俺に
目を吊り上げた美杏。
「アンタには関係ないでしょ!」
さっきまであんなに
共感し合えたのに
クソ生意気な態度の美杏に
カッチーンと来た俺。
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