リセット

13/16
前へ
/40ページ
次へ
流れ続ける沈黙。 あかん。 緊張して来てしもたやないか。 なんか喋らんかい俺! そう思いながらもそこは 関西男児の悪い癖が出てもーた。 「なんやねんお前。 まさか俺に惚れたんや あるまいな?」 あかんやろ俺! 何を言うとんねん!! 「…サイテー」 ポツリと返って来た美杏の声。 そやな、俺ホンマにサイテーや。 けど譲れないこの血筋。 「素直にならんかボケ。 俺の事、好きなんやろ?」 「嫌いに決まってるでしょ」 ……え? あれれっ? ちゃうんかいな? 慌てて覗き込んだ美杏の目が… めっちゃ怖い。 …なんや俺の勘違いか。 少しだけ残念な気持ちが 込み上げるのは何でやろ? そう思いながら肩で息をついた 俺の隣で美杏が呟く。 「だけど… 素敵な写真を 撮ってくれてありがとう。 東雲部長に言われたわ。 今まで見た中で、 一番いい顔してるって」 そう言ってニコリと微笑んだ 美杏の表情に俺の胸がドクンと 波を打った…気がする。 ドクンドクンと鼓動し続ける その激しさに思考回路まで 乱されて行くような… そんな感覚を感じながら 俺は美杏の耳元に口を寄せた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3236人が本棚に入れています
本棚に追加