リセット

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結局二次会終わりまで 美杏は二度と俺の傍には 来てくれへんかった。 まぁ当然やろな。 店から出て、小野部長や千夏と 談笑してた美杏は 俺とは一切視線を合わせないまま タクシーに乗って帰ってしもたし。 どんよりと落ち込む空気を 纏ったまま、俺も 東雲部長と前島チーフ共々 宿泊先のホテルへと戻った。 「明日は折角ここまで来たんだし 飛行機の時間まで 観光に連れてってやるからな」 なんて笑いながら言った 東雲部長に半べそかきながら 頷いて部屋のドアを開ける。 そのまま間接照明だけが灯る 薄暗い部屋をフラフラと 進んでベッドにポテッと 寝転がった。 あり得へん。 何でよりによって美杏になんか 恋心を抱いてしもたんやろ。 あんなにクソ生意気で 高飛車で…デキル女なんて 絶対に俺は好きになんて ならんと思ってたのに。 だって…せやろ? 自分よか上の女になんか 惚れてもたら… 常に劣等感を持たなあかんがな。 関西男児は負ける訳には いかんのや。 仕事も生き様も。 ……忘れよ。 美杏の事なんて 俺は好きやない。 そう心に言い聞かせて ネクタイを緩め 俺はそのまま目を閉じた。
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