新部長の苦悩

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「社内コンペが全てじゃないのは 俺も当然分かっているけれど 君達にはデザイナーとしての 意地みたいなものはないのか?」 ジロリと向けられた 東雲部長の視線に 一斉にデザイナー達が 俯いて視線を逸らす。 …これには驚いた。 東雲部長が前島チーフに 向ける優しい笑みしか 見た事がなかった俺にしてみたら こんな厳しい事を言うような 人だとは思っていなかっただけに さすがに俺もゴクリと唾を飲んだ。 「それからプランニング課。 小野前部長の取り組みで 君達はそれなりの実績も数字も 上げてくれているのは認める。 しかし現状を見ると 結局前島チーフを抜けそうな プランナーがいない。 君達も今まで以上に努力して 前島チーフを頂上から 引きずりおろして貰わなければ 俺は納得出来ない」 そう言って東雲部長は プランニング課にも その鋭い瞳をジロリと向ける。 この人は… 悔しいけれど一筋縄では 行かなそうだ。 現状の数字でも東雲部長は 満足してないと言う本音を 就任早々俺達に叩きつけて来た。 例え敵を作ったとしても 前島チーフを越える人材を 育成すべくこの人なりに 覚悟を決めて来たんだろう。
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