新部長の苦悩

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「では今後は新人研修の時と 同じように、組合せは ローテーション方式で 行って頂くと言う事で 皆さんよろしいですか? 異議のある方は挙手を」 静かな会議室。 当然それに異議なんて 唱えるものは誰ひとりいなかった。 「異議なしのようなので これは決定とさせて頂きます」 そう言って書類を トントンなんてまとめる 東雲部長は、初日から 俺達にその印象を植え付けた。 …鬼部長や。 「では本日の会議は これで終わりにします。 新たなローテーションの 組み方について話し合いたいので 勝田課長と前島チーフ、 それから今川チーフは残って下さい。 他のメンバーはそれぞれの 担当案件を進めて。 以上です」 微笑みひとつ浮かべないままの 東雲鬼部長にガックリと 肩を落としながら会議室を 出て行く女子社員たち。 その後を歩きながら グッチーこと坂口君が 早速名前のごとく愚痴り出す。 「小野部長の方が優しかったよな」 「そやな。 でも俺は東雲部長は嫌いやないで。 ビシビシしごいてもらわんと」 「あ、そうか。 橋本はドMだもんな」 「あほか。俺はドSやで」 「いや、絶対Mだろう」 「なんでやねん」 俺の質問にグッチーは ニマリと笑った。
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