悲しみをこらえて。

2/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
ヒューーーン・・・。ドザーン! 「うぁぁぁぁー!ち、父上ーーー!!!」 まだ夜も明けきってない森の中、空から一人の少年が飛んでくる。 この少年、マロン=クランク(7才) まだ駆け出しのウィザード見習いなのだ。 盗賊団「ワイルドファング」との激しい戦いの末、父で凄腕ウィザードのオズワルドが敗北。 死期を悟ったオズワルドにより、息子だけは死なせる訳にはいかない、との思いで、魔法で飛ばされてきたのだった。 「うーん・・・。イテテ・・・、ここは何処なの?いったい何がおこったんだろ?」 急には現状を理解できないマロンであったが、時間がそれを少しずつ解かしていく。 うっそうとしげった森の中、マロンはさっきまでの出来事を思い出して、ようやく現状を理解していった。 「そうか・・・。僕はさっきの戦いで、父上に助けらて、飛ばされたんだ・・・。そして父上は奴らに・・・。ウッ、ウッ、うぇぇぇぇん!」 「父上ーーー!!!」 夜の明けきらない森の中にマロンの叫び声だけが響きわたった。 どれだけ泣いていただろうか、いつの間にか森の中にも朝日が差し込むような時間になっていた。 「ウエッ、ウエッ、グスン・・・。父上、僕はこの先どうすればいいの?父上がいてくれなきゃ、魔法の修行も出来ないよ。何処に行けばいいのかもわかんないよー!」 マロンが途方にくれて、泣きじゃくっている、その時・・・ マロンの目の前にオズワルドの姿が浮かびあがった。 「マロンよ。いつまでそうしてメソメソしているのだ。父はお前をそんな弱虫に育てた覚えはないぞ!さぁ、もう立ち上がるのだマロン。お前なら私がいなくても立派なウィザードになれる。何故ならお前はこの私、オズワルド=クランクの血をひく息子なのだからな。・・・そしていつの日か、私を越えるウィザードになって、私の仇をうってくれ。期待しているぞマロン。」 夢か幻か、マロンの目の前にいるオズワルドがそう語りかけてくるのだった。 マロンはそれをみるや目の前のオズワルドに走りよった。 「父上ー!生きておられたのですねー!」 ・・・しかしマロンの期待虚しく、その姿は煙と化して消えてゆく。 「マロン、父はいつでもお前を見守っているぞ・・・マロン・・・。」 その姿、声はだんだん遠のき、そして消えていった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!