回想

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私が奇術師を目指したのはまだ少年のときで、それまでは不遇の時代を生きてきたのだが、ただ人に迷惑をかけるようなことはしなかった。しいて言えば旅籠の仕事をしていたときにソファーを掃除するように命じられたとき、隙間の間に挟まっている硬貨をひそかにさがすのがたのしみだった。それ以外は私は極めて道徳的にすごした。
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