《1》

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  「スケジュールさえ調整していただければ、もう一案、考えてみます」 言い切った羽村澪に、辻さんと内藤さんは首を振る。 「……本当に、大丈夫ですか? 僕は十分、魅力的な提案をいただいたと思っているんですが……」 「ああ。辻の言う通りだ。無理をさせるつもりはないんだよ、まだこのタイミングだし」 本当は、欲しいくせに。 もう一案。魅力的な餌よね。 それも長瀬恭のデザインよ? 食いつかないはずがない。 口では彼女を気遣っているけれど、本当はどんなものが上がってくるのか、気になっているはずだわ。 彼らの言葉を受けた羽村澪は、臆面もなくにっこり笑った。 「ええ、必要なら、それに応えるのが私たちの仕事だと思っていますから」 「……そう、か」 内藤さんが人の良さそうな笑顔で頭を掻いた。 「ウチのが無理言って悪いね、羽村さん。助かるよ」 「いえ、お気になさらないでください」 そうね、それが正解よ。 あなたたちの立ち位置は、私たちからの依頼を受けなければ成り立たないものなのだから。 .
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