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「お二人、何だか仲が良さそうですし、そうなのかなって」
「ち、違います! そんな、恐れ多い!」
焦りを隠さず、顔の前で手をぶんぶん振る女。
よくわかっているじゃない。そう、あなたには無理よ。
冷静に判断できるだけの頭はあるのね。
満足しながら、私は神谷先輩の方に首を傾げて微笑んだ。
「あら。神谷先輩、ふられちゃいましたね」
「そうだな、僕じゃ力不足みたいだ」
「ちょっ…もうやめてください2人とも!」
神谷先輩に不足なんてありはしないわ。
足りていないのは彼女の方。
その時ふと、視界に入ったのは彼女の隣。
俯きながら羽村さんを見つめる長瀬さんの、表情の柔らかさが気に障った。
……何なの?
憧れの先輩だけでなく……有名クリエイターである彼すらも。
一見何気ないけれど、彼女を気遣っているのが嫌でもわかる。
いいえ、もっと端的に言えば、二人揃って彼女への好意を滲ませている。
意味がわからない。
何がいいの、こんな女の。
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