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「データ類に関しては、後ほどメールでお送りしますので」
帰り際に、私が長瀬恭の方を見つめながら語りかけた言葉にさえ……返事をしたのはこの女だった。
「お願いします」
微笑む彼女に、言い様のない気持ちがわき上がってくる。
何を、当然のように。と。
彼女を先頭に、深いお辞儀をした後で、彼らは出ていった。
長い廊下を颯爽と歩く三人の姿、その背を睨みつけてしまうのも無理はないと思う。
……何なのよ、あの女は。
許せなかった。
そう、とにかく許せなかったのだ。
何の苦労もしていなさそうな、能天気な顔。
仕事を頑張っていると見せつけるような素振り。
なのにしっかり男の視線を奪って得意気になっているなんて。
努力も何もしないでそんな風に笑っているだけのくせに。
憧れの先輩や注目のクリエイターたちにあんなに優しく受け入れられているなんて。
許せない。
“オンナ”を感じさせないことを武器にしているくせに、“オンナ”として仕事をして構われていることが。
……“私”を、否定されているみたいに、感じたからかもしれない。
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