《1》

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  動きがあったのは、それから約一時間半後。 出先で携帯に入った着信は、知らない番号からだった。 固定電話だということだけはわかったけれど、登録していないもの。 思い当たるのは、+D社。だとしたら、長瀬恭からだわ。 そうアタリをつけて出る。しかし。 『お世話になります、+Dの羽村と申しますが』 耳に飛び込んできた女の声に、思わず顔をしかめてしまった。 「……あ、羽村さん、ですか? 先ほどはどうも」 『こちらこそ。早速なのですが、いただいたデータの件で……』 私の硬い声にも気付かず、彼女はサクサク話を進めていく。 足りないデータの送付依頼、それから確認。 簡潔だけれど、不快さは増すばかりだ。 「確認します」とだけ返してすぐに切ろうと思ったら、彼女は『あの』と切り出した。 『今後は私が窓口としてやり取りさせていただきますので、よろしくお願いします』 「え?」 何を言っているの、この女は。 メールを見なかったの? 長瀬恭にだけ宛てたあのメールを見ても、自分が自分がと前に出てくるつもりなの? 唖然としている私に、電話の向こうの彼女は続ける。 .
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