《1》

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  「念のため、羽村さんと宮野さんのアドレスを長瀬さんにメールしていただくよう、お願いできますか?」 『え、あの、お名刺いただいてますし、私からお送りしますよ?』 ……どこまで鈍いの、この女。 あなたとはこれ以上関わりたくもないのよ、私は。 普通、ここまで言ったらわかるでしょう? 察するという能力が欠如しているとしか思えない。 動物以下の理解力ね。信じられないわ。 それとも何、この仕事から降りたくない理由でもあるのかしら? だとしても、私には何の関係もないわ。 さっさと諦めてもらうしかないのよ。 舌打ちしたくなるのを堪えて、私は電話の向こうの相手を睨むように言い放つ。 「いえ、結構です。知らないアドレスからのメールは受け取らない主義ですので。では、よろしくお願いしますね」 一息に言い切って、即座に通話を切った。 最後に『は……』なんていう間抜けな声が聞こえたような、聞こえなかったような。どうでもいいけれど。 .
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