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提案の数は、多い方が喜ばれる。当然の事よ。
特に営業はそれを求める傾向が強いわ。クライアントへの体面を一番気にする立場だもの。
もちろん、内藤さんだって例外じゃない。
いいえ、内藤さんだからこそ、と言えるかもしれないわね。
彼は、最初の提案では多くの案を提示することが効果的だと考えているタイプだわ。
営業として、クライアントへの意思表示になるものね。『我々はこれだけ御社の事を考えています』って。
彼らが何に弱いか。私にはわかっている。
そこをくすぐれば、十分だわ。
「あの……」
遠慮がちに呼びかけられ、私たち鳳凰堂側の面々は顔を上げた。
向かいに座る羽村澪が、微笑みながら続ける。
「もしよろしければ、御園さんのおっしゃる男性目線の提案というものを、持ち帰って考えてみましょうか?」
物わかりがいいのね、と思いつつも……私は少しだけ、驚いていた。
まさか自ら提案してくるとは、思っていなかったからだ。
……まあ、そういう空気に持っていったのは、私なのだけれど。
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