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「では、長瀬さんにお願いできますね?」
私はわざとらしい微笑みを浮かべ、彼女をまっすぐ見据えた。
ああ、これでやっと彼と仕事ができる。
満足だった。ようやくこの面倒くさい女を外して仕事ができる。私の仕事を全うできる。
本当に、嫌な女。手間かけさせるばかりでなってないわ。
手元にあるデザインを……
綺麗だ、なんて思った自分が悔しい。損した気分よ。
勝利を疑いもしなかった私に、羽村澪は何故か笑顔を返してきた。
「すみません。あいにく、長瀬にも都合がありまして……」
そう切り出した彼女は、大げさなくらい笑みを深くして、私に言う。
「スケジュールが決まり次第、すぐ教えていただけますか? 他にも男性はおりますので、相談してみますね」
……ここまできて、まだ足掻く気?
どこまで私の邪魔をするのよ。この女は。
けれど、ここで食って掛かるのは得策ではない。内藤さんや辻さんがいる。
仕方ない、とばかりに私は答えた。
「……わかりました。早急に手配しますので、長瀬さんにもよろしくお伝えください」
「はい。お願いします」
いいわ、どうせ彼女は長瀬恭に依頼することになる。いずれはね。
それまでせいぜい、一人気張っていればいいわ。
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