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「なんや、タク。今日もつき合ってくれんとや。」
「すんません。今日は、ちょっと。」
重昭さんからの何度目かの飲みの誘いをどうにかかわし、俺は足早に事務所を後にした。
「ただいま!」
ドアの外まで漂ってくる空腹を刺激する匂いに、待ちきれず玄関先で声をあげると、「おかえりー」と沙希が奥から声だけで出迎える。
「えらい早かったね。」
「おう。」
鍋の中身をかき混ぜながら沙希が言う。
「これ。」
俺は沙希にピンクのリボンが掛かった小さな箱を手渡した。
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