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「ずっと沙希と二人でやってきたのに、ある日いきなり現れる赤ん坊のことをちゃんと受け入れらるっとだろうか。…ちゃんと愛せるとだろうかって、ずっと不安だった。」
親に愛された記憶のない俺には、子どもの扱い方なんて多分わからない。
ずっと施設で育って、身内の暖かさなんて全く知らなくて。そんな俺に唯一手を差し伸べてくれたのが沙希だった。俺にとって、信じられるのは沙希だけで、ずっと沙希の為だけに生きてきた。
沙希だけが唯一の家族で、世界の全てだった。
そこには赤ん坊が入り込む余地なんて、全くないような気がしていた。
だから、今は沙希でいっぱいの愛情を、生まれてくる赤ん坊に分けてやらなきゃいけない、そうすることが俺の義務なんだと思っていた。
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