Birthday cake

6/18
前へ
/20ページ
次へ
「た…くちゃん、…どうかしたと?」 痛みと痛みの僅かな隙間、幾らか冷静さを取り戻した沙希が俺の異変に気がついた。 沙希の痛がり様は凄まじく、俺は側で見ているだけで、緊張と不安で倒れてしまいそうだった。 「ごめ…、沙希。俺、気持ち悪…」 「いっ、たぁ~いっ!!」 俺が言い終わらないうちに、また沙希の陣痛がやってきた。俺は腹の底からせり上がってくるものを必死で堪え、やっとのことで沙希の傍らに立っていた。沙希はそんな俺には構うことなく、俺の腕をきつく握り、またしても罵声を飛ばす。 「たくちゃんの…役立たずっ。目障りだけん、早よ出ていってっ!!」 俺は情けなくふらつきながら、LDRを後にした。 正直、助かった、と思っていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加