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「た…くちゃん、…どうかしたと?」
痛みと痛みの僅かな隙間、幾らか冷静さを取り戻した沙希が俺の異変に気がついた。
沙希の痛がり様は凄まじく、俺は側で見ているだけで、緊張と不安で倒れてしまいそうだった。
「ごめ…、沙希。俺、気持ち悪…」
「いっ、たぁ~いっ!!」
俺が言い終わらないうちに、また沙希の陣痛がやってきた。俺は腹の底からせり上がってくるものを必死で堪え、やっとのことで沙希の傍らに立っていた。沙希はそんな俺には構うことなく、俺の腕をきつく握り、またしても罵声を飛ばす。
「たくちゃんの…役立たずっ。目障りだけん、早よ出ていってっ!!」
俺は情けなくふらつきながら、LDRを後にした。
正直、助かった、と思っていた。
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