150人が本棚に入れています
本棚に追加
そのまま、沙希のいる部屋の前のベンチにドサッと音を立てて座り込む。
自分でも気がつかぬうちに体に力を入れていたのか、こめかみがズキズキと痛んだ。
「…ホントに俺は父親になっとやろか。」
自分が人の親になるなんて、まるで実感がない。日に日に膨らむ沙希の腹を見ていても、本当は少し気味が悪かった。
この薄い皮膚の向こうに、俺の血が流れた子どもが入ってる?
ぐにゃりと足の形を浮かせて動く沙希の腹は、何故かホラー映画を連想させた。
回想は更に激しい吐き気を呼ぶ。仕事の疲れもあったのか、俺はそのまま深い眠りに落ちた。
最初のコメントを投稿しよう!