- 1章 -

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 あたしの答えに対して、長い沈黙の後、政やんはこう言った。  「芽衣、ウリなど辞めてしまうのが一番だ。だけどどうしても続けるならば俺が紹介する客だけにしろ」  苦渋の選択だったのだろう。  今と同じように運転席に座る政やんの顔はドス黒く、全体に脂が浮き出ていた。  辞めさせられないならば見守ってやるしかないと思ったのか。  あるいは、あたしの心の奥底に潜在するものを、政やんなりに感じ取ったのかも知れない。  援交を始めて直ぐのころ、行為の途中で首を締められたことがあった。  殺されるのだと本気で思い、気がつくと失禁していた。  泣きながら震えるあたしに、男は必死で謝った。  それでもまだ行為を再開しようとする男の隙をついて何とか逃げ出した。  あの時の恐怖は忘れられない。  だからバレてしまった以上、政やんの出した答えはあたしにとって願ってもないものだった。  相手となる客に政やんが前もって禁止行為を言い含めてくれるだろうし、客は管理する組織をヤクザだと思うはずだから、後のことを考えたら無茶は出来ない。  車内からファミレスに場所を変えて、条件を話し合った。
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