- 1章 -

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 それまで出会い系サイトで知り合う男と、90分3万で援交していたあたしに、芽衣なら5万は取れると政やんは言った。  あたしはファミレスのペーパーナプキンに取り決めたことを箇条書きにしていった。  ①ホテルまで政やんが車で芽衣を送り、終わるまで近くで待機する。  ②政やんを通した客以外との援交は今後絶対にしない。  ③取り分は芽衣が4万で政やんが1万。  あたしは今まで通り3万で良かったのだけど、政やんは絶対に引き下がらなかった。  時間帯は必然的に、”あたしの放課後で政やんの体が空いている時”に決まった。    政やんが向かいの席から手を伸ばし、ペーパーナプキンとペンを奪って書き加えた。  ④ヒロさんにバレない様、お互いに最善の努力を尽くす。  「バレたら殺されるぜ俺」  吐き出した煙の向こうに除く八重歯は、政やんがその日初めて見せた笑顔だった。
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