487人が本棚に入れています
本棚に追加
あの夜を堺に、あたしの援助交際という建前は崩れてしまい、売春に変わったのだろう。
政やんは客を斡旋すれば管理売春で、客をとったあたしは売春婦だ。
今時の女子高生にもそれくらい分かる。
だけど売春とはどうしても考えたくなかった。
傍から見れば例えそうだとしても、あたしは”援交”をしていて、ボディーガードとして政やんがいるだけ。
たとえ自己満足でもそう思っていたかった。
あれから半年経った今も、政やんとの関係は何も変わってない。
共通の秘密を抱えたという以外は。
気がつくと国道246号線を下った車は相模川を渡りきり、厚木の街明かりが近づいた所で渋滞にハマっていた。
「政やん今日はこれで終わり?」
「店を回ろうかと思ってるけど、なんでだ?」
政やんは、厚木に事務所を構える暴力団、榊組の構成員だ。
政やんの兄貴分は組の若頭の遠藤さんで、ヒロちゃんの同級生であり仲間の一人でもある。
その遠藤さんの持つ何軒かの飲み屋や風俗店を見回るのが、政やんのこの後の仕事らしい。
「ヒロちゃんがさ、刺身が食べきれないって言うから、政やん連れてくって言っちゃった」
最初のコメントを投稿しよう!