- 1章 -

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 男の出したそれを吐き出そうと、枕元のティッシュケースに手を伸ばしたその瞬間。  ”ゴットファーザー~愛のテーマ”が高らかに鳴り響いた。    驚いて、一瞬呼吸を間違えた。  飲んじゃった。  最悪。  液晶を見なくても分かるこの専用着メロはヒロちゃんからの証し。  うっかりしてた。  吐き気を我慢しつつ、バッグから携帯を取り出してマナーモードに切り替えた。  「君、よかったよ。また頼むよ」  タバコを手にし、ベッドに片肘を付いた客が言った。  ハゲ散らかした、腹の大きなオヤジが横たわると、まるっきり水族館のアレだ。
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