- 1章 -

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 車の中は冷房が効いていた。  「おつかれさん。問題なしだな?」  「うん、許容範囲」  そう答えながら万札を一枚、政やんに渡した。  「でも次からNGにして」  「そうか。わかった」  頭の上でイカツイ形を作るリーゼントパーマは、今日もバッチリキマッていて、乱れたところをまだ見たことがない。  「様子がおかしいと感じたら早めに電話してくれよ」  「うんわかってる」  あたしがそう答えると、政やんは車を発進させた。  政やんはヒロちゃんの一つ後輩で、あたしが小さな頃からヒロちゃんの周りに居る仲間の一人だ。  ヒロちゃんが留守の時には、いつもあたしと兄純也の世話を焼いてくれた。  単なる子供好き、では説明が付かないレベルで、昼夜を問わず可愛がってくれた。
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