- 1章 -

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 思春期を迎える頃には、ヒロちゃんが夜に家を空けること自体が減った。  あたしたちが成長して手が掛からなくなり、ヒロちゃんの仕事をする時間が増えて家計が楽になったのだと思う。  もちろん夜に留守番をしても、寂しさを感じる年齢ではなくなった。  遊ぶお金に困っていた訳でもない。  じゃぁなぜあたしはお金を稼ぐのか?  健全なアルバイトでは絶対手に入らないほどのお金を。  ――お金があればなんとなく安心する。  ――例え今必要なくても。  ――大切な何かを守れる気がする。  小さい頃考えた、お金が沢山有ればヒロちゃんがもっと側にいてくれる、という気持ちが心の奥底に有り、それが少し形を変えて潜在してるのかも知れない。  政やんに問い詰められて、改めて考えた結果だった。
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