- 2章 -

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 *  薄暗い雲の立ち込めた典型的な梅雨空は、只でさえ憂鬱な月曜の朝を更に憂鬱にした。  霧吹きを吹いた様な雨が、上から落ちてくるのではなく空中に漂い体にまとわりつく。  差すのが無意味に思え、傘をたたんだ。  小田急のガードを潜るところで遥と一緒になり、昨夜のテレビの話しをしながら学校へ向かった。  悪戯の効果が気になったけれど、純也のファンクラブの数人が冷たい視線をよこす程度で、学校中の噂というわけではなさそうだ。  ファンクラブの中だけで留めているのだろう。  昼休み、遥と向い合って弁当を広げたところに突然声を掛けられた。  「相原!一緒に映画見にいかないか?」  たしかサッカー部だったか、同じクラスの加藤だ。  割りとイケメンで明るく面白く、女子に人気があるのは知っていた。  しかも遥からの情報で、どうやら亜沙美が思いを寄せているらしいと聞いていた。   「お願いします!!」  いや、声がデカ過ぎるでしょ。  テレビのお見合い番組の様に頭を下げて右手を出してくる。  加藤の仲間がニヤニヤしながら後ろで見守り、クラス中も注目している。  じっとこっちを睨む亜沙美と目が合った。  「映画かぁ。うんいいよ」  加藤の仲間が指笛を鳴らし、クラス中が拍手をした。  もちろん純也のファンクラブの連中を除いて。  一瞬驚いた表情を見せた亜沙美が、更に険しい表情をしてこっちを睨んでいた。
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